ヨガにはたくさんの種類があります。
もし、「エアロビクスのように、思いっきり汗をかきたい。余分な体脂肪も一気に解消したい」という人におすすめなのがヴィンヤサヨガです。
1.ヴィンヤサヨガとは。特徴
1-1.ヴィンヤサヨガの特徴
「ヴィンヤサヨガ(Vinyasa Yoga)」のヴィンヤサとは、サンスクリット語で
「(nyasa)配置する」
という意味です。
「ヴィンヤサフローヨガ(Vinyasa Flow Yoga)」といった言い方もしますので、この「配置する」はポーズ(アーサナ・アサナ)を途切れなく続けるという意味で考えていいでしょう。
一般的なスタジオなどで行われているヨガのレッスンの中では最も運動量が多いといえます。
ポーズ(アーサナ)とポーズが途切れることなく、流れるようにつながっています(フロー)。また、一呼吸一動作で、動作の一つ一つに呼吸が連動しているのも、もう一つの特徴です。呼吸を一切止めないで動きに集中することで、深い瞑想状態になれるメリットもあります。
1-2.ヴィンヤサヨガの4つの効果
インナーマッスルを強化
上半身下半身を問わず、インナーマッスルも含めての筋肉が鍛えられます。強い精神力を得たい人にも効果的です。全身を鍛える効果が高いです。
ダイエット効果
ヴィンヤサヨガは動きが激しいので、運動量も多いです。そのため、続けることで余分な体脂肪も一気に解消してくれます。かなりカロリーを消費します。「ダイエット効果(痩身効果)を早く出したい」という人におすすめです。
リフレッシュ効果
思い切り体を動かしたい、汗をかいてスッキリしたい人向けです。運動量が多くなる理由のひとつは、休むことなく次々のポーズ(アーサナ)をとるためです。
思いっきり体を動かし、汗もかくのですから、有酸素運動としてのリフレッシュの効果が高いです。呼吸を深くしながら動くことで交感神経が活性化し、身体の代謝アップからメンタルの爽快さまで引き出してくれます。
集中力アップ
また、今やっているアーサナの途中にも、常に次に移るアーサナを意識しておかなければいけません。そのため、集中力も高まります。流れる動きの中で常に呼吸を強く意識するので、自然と瞑想状態に近づき、心が安らぎ落ち着きます。
「ほかのヨガも経験してみた。しかもかなり熱心にやってみたけども、いまひとつもの足りない」といった人にはおすすめです。
2.ヴィンヤサヨガのポーズ
2-1.初心者向けポーズ3選
2-2-1.ワニのポーズ(ジャタラ・パリヴァルタナ・アーサナ)
・両手を広げた状態で床の上に仰向けに寝ます。
・そこから脚をそろえて伸ばし、片側にゆっくりと倒します。
・顔は倒した脚と反対側を向けます。
名前は「ワニがしっぽを左右に振る様子」から来ています。
最も効果が期待できるのは腰痛対策です。また、内臓への刺激もありますので、内臓脂肪を解消するのにも役立ちます。
2-1-2.三角のポーズ(ウッティタ・トリコナーサナ)
・両足を広めに開いて立ちます。
・右足のつま先は真横へ、左足のつま先は正面に向けます。
・両手を水平に広げ、その状態を保ったまま上半身を右へと倒していきます。
・顔は左手の先に向けます。
・元に戻したら左右を入れ替えて繰り返します。
これも腰痛対策になります。また、ウエストの引き締め、便秘対策にもなりますので、特に女性は覚えておきたいポーズです。
⇒ヨガの三角のポーズ、効果とマスターのコツ。初心者でできない時のポイント
2-1-3.無空のポーズ(シャヴァ・アーサナ)
別名を「屍(しかばね)のポーズ」といいます。
・仰向けに寝て、両端は伸ばしてやや広げます。
・両腕は脱力した状態で体の横の楽な場所におきます。
・手のひらは上を向けたほうがいいでしょう。
・ここから、頭、額、目の奥などまず首から上の各部分に意識を持っていって、それぞれの緊張感をときます。
・これを上から下に順々に全身に行います。
・最後は自然と瞑想状態になっているはずです。
これで得られるのは、なんといってもリラックス効果です。
2-2.一般的(代表的)なポーズ2選
2-2-1.木のポーズ(ヴリクシャーサナ )
・まず直立します。
・そこから片脚を曲げ、もう一方の足の付け根に足の裏をくっつけます。
・ぐらつきが収まったら、胸の前で両手を合わせ数回深い呼吸をします。
・その後は、両手を合わせたまま真上に持っていきます。
・この間顔はずっと正面を向いたままです。
バランス感覚が養われるだけではなく、代謝がアップします。このことから、冷え性も解消します。
2-2-2.鳩のポーズ(カポタ・アーサナ )
・上半身は正面向き、片脚は前に出して曲げ、もう一方はまっすぐ後ろに伸ばします。
・両手は頭の後ろで組みます。
・うしろの脚を上に曲げ、また上半身は反らします。
・これで同じ側の腕のヒジあたりで、上に曲げた脚を引っ掛けます。
難易度の高いポーズですが、それを崩したバリエーションがたくさんあります。
全身のあらゆる部分がかかわっていますので、その分効果も多様です。ウエストの引き締め、骨盤周りの筋肉や腱の強化、内臓機能の活性化、代謝アップなどが期待できます。
ヴィンヤサヨガのシークエンスは厳しい?
シークエンス(アーサナなどの順番)は、各スタジオで内容はバラバラ?!
ヴィンヤサヨガの決まりごとはほとんどありません。
シークエンスも指導するインストラクターが個々に工夫していますし、慣れてくれば自分で工夫するのもOKです。
ですから、「動きがダイナミックで、ダンスにも似ている」ともいわれるヴィンヤサヨガですが、緩やかな内容の場合もありです。初心者の生徒でも受け入れやすいように、動きのレベルを落としているスクールやレッスンもあります。または、リラックスなどの効果を求めて、瞑想の要素をプラスしている場合もあります。
「だれが始めたものかははっきりしない」という点も、アシュンタンガヨガも含め、ほかの多くのヨガとの違いです。決まり事がほとんどないのは、そのことも影響しているでしょう。
それだけに、実際にスタジオやクラスを選ぶ場合には、事前の見学をして、自分が望むような内容になっているかどうかを確認することが重要です。体験コースなどのサービスがあるようなら、それも利用しましょう。
ヴィンヤサヨガの代表的なアーサナ、太陽礼拝
このように自由度の高いのがヴィンヤサヨガの一番の特徴ですから、「アーサナは全部で何種類ある」や「代表的なアーサナはこれだ」といったことがいえません。
ただ、太陽礼拝はほかのヨガよりも重要視されます。この太陽の礼拝(12のポーズの組み合わせ)はほかの種類のヨガでも、よくウオーミングアップの代わりに最初に行われます。
ヴィンヤサヨガの場合は、その後のシークエンスの中でも、この太陽の礼拝の中の動きが部分的に繰り返し出てきます。
【太陽礼拝A、12のポーズ】
①タダーサナ(山のポーズ)
②ウールドヴァ・ハスターサナ(手を上にあげる)
③ウッターナーサナ(前屈)
④アルダ・ウッターナーサナ(前屈のまま膝を伸ばす)
⑤クンバカーサナ(プランク)
⑥チャトゥランガダンダーサナ(杖のポーズ)
⑦ウルドワ・ムカ・シュバナーサナ(上向きの犬のポーズ)
⑧アド・ムカ・シュバナーサナ(ダウンドッグ)
⑨アルダ・ウッターナーサナ(立位前屈)
⑩ウッターナーサナ(前屈)
⑪ウールドヴァ・ハスターサナ(手を上にあげる)
⑫タダーサナ(山のポーズ)
複数のポーズを流れるようにしていくことで集中力が増し深くリラックスできます。
これもインストラクターごとに工夫してもいいのですが、実際にはアシュタンガヨガから引き継いだもの2種類のうちのどちらかが行われることが多いようです。
ヴィンヤサヨガは初心者にはきつい?
ヴィンヤサヨガは、ずばり、中上級者向けです!
休みなくポーズを変え続けていくので、基本的なポーズはいくつかマスターしておく必要があります。
運動量も多くてかなりハードなので体力もないときついです。
初心者の場合なら、自分のレベルに応じて、1つ1つのポーズをじっくりマスターしていくほうがおすすめです。
ホットヨガや通常のエクササイズで汗をたっぷりかくことはできますから。
また、身体にトラブルを抱えている人は、ほかのセラピー効果の高いヨガを選んだほうがいいでしょう。
おすすめのヨガスタジオは?
ラバでヴィンヤサヨガのレッスンはあるの?
ヴィンヤサヨガは中上級者向けですので、ラバの数多い教室の中でも開催している教室は、あまり多くありません。インストラクターの状況で各教室毎にレッスン内容が変わります。
入会する前に、通いたい教室でレッスンが開催されているか、確認しましょう。
同じような運動の量の多い似たスタイルのヨガのレッスンとして、「やさしいパワーヨガ」も検討してみましょう。
ヨガは、インストラクターのいるスタジオできちんと教わるほうが効果的です。
ヴィンヤサヨガのプログラムが充実しているのは、CALDO(カルド)とYOGA PLUS(ヨガプラス)です。
全国活地にスタジオがあり、通いやすいです。しっかり運動できるメニューをメインにヨガを通じて、ストレスを解消できます。格安体験ができるので、気軽に覗いてみましょう。
カルド(CALDO)
全国に63店舗
会費の安さ、設備の充実度で人気です。
・ヴィンヤサヨガ
zen place(旧 ヨガプラス)
【参考】ヴィンヤサヨガの歴史
ハタヨガとは
「ヴィンヤサヨガもハタヨガの一種」といわれたり、「ヴィンヤサヨガとハタヨガの違い」と全く別のもののような言い方もあったりと、「一体どっちなのだろうか」と考えてしまうことがあるかもしれません。これらの場合の指している「ハタヨガ」の内容に違いがあります。
まず、広い意味では「ポーズをとり、体を動かすヨガ」はすべてハタヨガです。これは古代インドで発生し、長い時間をかけて工夫が積み重ねられました。この意味では、ヴィンヤサヨガもハタヨガの一種です。
こちらのハタヨガは特に「伝統的ハタヨガ」と呼びます。
ところが、特に1990年代に入ってからアメリカなどで、この伝統的ハタヨガにエアロビクスなどエクササイズの要素が採り入れられるようになります。こうやってできたのが、「近代的ハタヨガ」と呼ばれるものです。
さらにこの近代的ハタヨガがさらに発展する一方で、この近代的ハタヨガから派生する形で新しいヨガも続々生まれてきました。
⇒ハタヨガにはどんな効果があるの?初心者向けに最適なヨガって本当?!
アシュタンガヨガ
そのうちのひとつが、アシュタンガヨガです。
特徴としては、
・シークエンス(アーサナなどの順番)が厳しく決まっている
・動きが激しい
という点です。上級者向けのヨガといえます。そのため、メインになるレッスンでは、インストラクターの掛け声のもと、全員が同じ動作をします。このあたりは、エアロビクスの影響と見ていいでしょう。
ただし、それを補うために、「マイソール」と呼ばれる形のレッスンも同時に用意されているのが一般的です。マイソールは日本語ではしばしば「自習」や「自主練習」と呼ばれます。
個々に自分で必要と思うアーサナや動きを確認します。インストラクターの先生は横にいますので、必要があれば自分から声をかけ、指導を受ける形です。
→アシュタンガヨガとは?どんな効果なの?激しいヨガのポーズを解説!
ヴィンヤサヨガの誕生
このアシュンタンガヨガからさらに派生したのが、ヴィンヤサヨガです
アメリカで生まれ、より自由度の高いヨガとして発展してきました。指導者として、シヴァ・レイ(Shiva Rea)、シンディー・リー(Cyndi Lee)などが有名です。
ただ、引き継いでいるのは、「動きが激しい」点ぐらいで、かなり違いがあると言えます。
敷居の低くて初心者でも始めやすい点で人気が高いです。
【比較】アシュンタンガ、パワーヨガとヴィンヤサヨガとの違い
ヴィンヤサヨガとよく比較されるのが、その元となったアシュンタンガヨガや、同じくアシュンタンガヨガからの派生して生まれたパワーヨガです。
もし、アシュンタンガヨガやパワーヨガを調べてみて、「動きが激しすぎるし、アーサナも関節などへの負担が大きそう」「自分の思っているものとは違うな」と思うなら、ヴィンヤサヨガも選択肢からは外していいでしょう。
アシュンタンガヨガとの違いは?
アシュンタンガヨガとの一番の違いは「アシュンタンガヨガはシークエンスが完ぺきに決まっていて、そこから少しでもはみ出すことや許されない、と結構窮屈です。
一方のヴィンヤサヨガは決まりごとはほとんどありません。
「どちらが優れている」というものではなく、自分の性格にあった方を選ぶのがおすすめです。
また、ほかのヨガとは違うヴィンヤサヨガの特徴は、「動きが止まらず、かつリズミカル。ほとんどダンスという点です。もし、「エアロビクスやダンスなどのほかの健康法・美容法・エクササイズも興味がある」、または「それらをすでに経験している」という人には始めやすいかもしれません。
パワーヨガとの違いは?
パワーヨガとの違いは、実はあまりありません。かなり両者は似ています。というのは、どちらもアシュンタンガヨガから発生していて、その上インストラクターごとに自由に内容を変えられます。
ただ、「カバーする範囲はヴィンヤサヨガのほうが広く、パワーヨガでやるアーサナはほぼヴィンヤサヨガに含まれている」といっても大きな間違いにはならないでしょう。
やはり「エアロビクス・ダンスなどにも興味のある人は、パワーヨガよりもヴィンヤサヨガの方がなじみやすい」といった点です。