ガス抜きのポーズは簡単にいえば、「おならを出すためのポーズ」です。単にガスでできたおなかの張りを解消するだけではなく、整腸作用があります。便秘などにおなかのトラブルに悩んでいる人におすすめです。

やり方はふたつある

ガス抜きのポーズとしてよく知られているものはふたつあります。

赤ちゃんのポーズ


サンスクリット語では、「パヴァナ・ムクタ・アーサナ」です。「パヴァナ」が毒や風といった意味で、ムタクは「解き放つ」です。そのままの訳なら「ガス抜きのポーズ」ですが、日本で「こちらの「赤ちゃんのポーズ」の呼び方もよく使われています。

1.床の上に仰向けに寝転びます。
2.両ひざを折り曲げて引き寄せ、両腕で抱え込みます。
3.息を吐きながら、さらに両ひざを胸に引き寄せます。
4.首は真っ直ぐに伸ばしたまま、また、肩の力は抜くようにしましょう。
5.息を吐きながら、頭を床から浮かせます。この状態で5回程度呼吸を繰り返します。
6.息を吐きながら、静かに足を下ろします。

片足を上げたガス抜きのポーズ

赤ちゃんのポーズとの違いは、胸に引き寄せる脚が片方だけになる点です。もちろん、左右交互に行うようにしましょう。

ガス抜きのポーズの効果

ガス抜きのポーズでは、胃腸に刺激を与えることになります腸の蠕動(ぜんどう)も活発化することで、おなかの中にたまったガスも動き出し、やがておならとなって出てきます。また、これは宿便などに対しても働きかけます。便秘も軽くなるでしょう。

腰の周りや太もも裏の筋肉も伸びます。腰痛の解消にも役立ちます。もし、腰痛対策が主な目的なら、ヒザを抱え込んだ状態で、前後左右にゆらゆらと揺らしてみましょう。腰骨や股関節などの筋肉がいっそうほぐれていきます。気分的にもリラックスできるでしょう。長時間のデスクワークで体がこわばったように感じているときにも有効です。

また、コブラのポーズ弓のポーズラクダのポーズのように背中を反り返らせるポーズを取るときには、このガス抜きのポーズも意識的に組み合わせるようにしましょう。前に曲げることで背骨のバランスがよくなります。

ガス抜きのポーズは即効性がある!?

おなかにガスがたまる原因は主に3つあります。

まずは、「慌てて食べるなど食事のときの癖で空気を飲み込んでしまう」があります。または、「デスクワークなどのときの姿勢、スカートなどでおなかを締め付けるなどのせいでおならが出にくくなっている」といった場合もあります。また、「腸内環境が悪化して、悪玉菌がガスを発生させている」といった場合もあります。また、これらは複雑に絡み合っていて、「おならが出せないせいで、いっそう腸内環境が悪化する。ひどいときには腹痛まで出て我慢できない」といったことも考えられます。

ガス抜きのポーズはこのどれにでも効果を発揮します。
実際にすでにおなかがガスで張っている状態なら、胃腸薬などに頼るよりもガスを出してくれるでしょう。

また、自律神経を整える効果も期待できます。日ごろからガス抜きのポーズを取るようにしていれば、腸内環境の改善にも役立ち、腸内でガスが発生しないようになります。もちろん、病気にかかりにくくなるなど健康状態全般の向上にもつながります。

お腹が痛いときはガス抜きのポーズは大丈夫?

ガス抜きのポーズは初心者でも簡単にできます。キープするのが苦しくなるような無理な姿勢もしません。

とはいえ、それでも難しい場合もないとはいえません。おなかが張りすぎていて、赤ちゃんのポーズでは圧迫感があったり痛みがあったりする人は、片脚ずつ上げる方のポーズをするようにしましょう。片脚ずつでも十分な効果が期待できます。

また、首や背中を痛めている人は、それが治ってから取り組むようにしましょう。

ガス抜きのポーズ 妊娠中でも大丈夫?

妊娠中は普段とホルモンのバランスが異なります。腸内の水分が減るような時期もあり、この場合は便が硬くなってどうしても便秘してしまいがちです。また、運動量も少なったり、ストレスをため込んでしまう人も少なくありません。これらもまた、便秘の原因になります。

こういった場合にも、ガス抜きのポーズを利用しましょう。胃腸の動きが活発化するだけではなく、腰回りの筋肉をほぐしたり強化もしてくれるので、出産も楽になるはずです。ただし、胎内の赤ちゃんに悪影響が出ないことが大前提です。始める前に担当医師によく相談してみましょう。

その他のガス抜きのポーズ

おならがすぐに出て、おなかが楽になるポーズはほかにもあります。赤ちゃんのポーズなどと合わせてやると、いっそう効果も高くなるでしょう。

ネコの伸びのポーズ

簡単にでき、猫背の改善にもなるので人気のあるのがネコの伸びのポーズです。おなかを上げ下げするので、これも腸の蠕動運動を促します。中にはおならを出す効果の高いことを知らずにネコのポーズをやっていて、「レッスン中におならが出て仕方がない」と困っているような人までいます。

1.床の上に四つんばいになります。
2.息を吐きながら背中を丸めます。視線はおへそをのぞき込むようにしましょう。
3.元の位置まで戻し、今度は反対に行きを吸いながら背中を反らします。お尻は突き出すような感じです。
4.これを数回繰り返します。

ヨガの猫のポーズ(マールジャーラ・アーサナ)のやり方。どんな効果がある?

ねじりのポーズ

これまでご紹介したものとは違い、横に捻ることで胃腸や内臓を刺激します。また、おなか周りの筋肉を鍛える効果もあるので、ウエストにくびれが出来ます。こちらも初心者でも簡単にできます。

1.両足をそろえ、伸ばし座ります。
2.左ヒザを立てて、右足の後に置きます。
3.右手で左足を抱え、左手はおしりの後に置いて体を支えます。
4.この状態から息を吐きながら、さらに状態を左にねじります。
5.5回程度深い呼吸をしたら、左右を変えて同じことを繰り返します。

コブラのポーズ

簡単にいえば、上体反らしです。これも呼吸方法などを心がけると立派にヨガになります。また、おならを排出しやすいくするポーズは体を前に曲げるものが多いです。バランスを取るためにも、反らし系のポーズも加えたほうがいいでしょう。

1。うつ伏せになって寝転びます。両端は伸ばして、肩幅かそれよりもやや狭めに広げます。
2わきを占めた状態で、.両手を胸元の横に置きます。
3.息を吸いながらゆっくりと状態を起こしていきます。背中の筋肉を使うのではなく、腕の力で持ち上げるようにしましょう。
4.腰はできるだけ床に近づけます。
5.反らした状態のまま、ゆっくりと呼吸をし、10秒から30秒程度保ちます。
6.息を吐きながら状態を床の上まで下ろします。

まとめ

ヨガのポーズの基本ですが、ここでご紹介したポーズはどれも腹式呼吸を心がけるようにしましょう。それでいっそう胃腸への刺激が高まります。また、いずれも自律神経を正常化させる効果もあるので、こちらからも便秘などの解消に役立ちます。

おならが出るのは、胃腸への刺激を与えたためです。しかし、どのポーズも腹筋を鍛えたり、内臓の位置を正しくする効果もあります。おなかが張っているときだけやるのではなく、普段からやるようにすれば、ガス自体がたまりにくい体質にもなります。