別名は「勝利の呼吸」ともいわれるウジャイ呼吸。動きの激しいアシュタンガヨガではとても重要な呼吸法となります。
ここではウジャイ呼吸の基礎知識と上達のポイントをまとめました。
ウジャイ呼吸とは
ウジャイ呼吸は呼吸法自体に特別な効果や意味があります。広い意味では胸式呼吸になります。
つまり、息を吸ったときは思い切り肺を膨らませ、吐くときはその肺をしぼませるようにします。腹部はなるべく使わないようにします。単にそれだけなら、私たちが普段行っている呼吸と変わりはありません。
特徴は、吐く・吸うを力強く入れてやることです。こうすることで、体が温まり、血行もよくなります。ここから波及する効果はたくさんあります。たとえば、内臓の活動が盛んになるのもそのひとつです。
また、激しい呼吸のために音も出ます。この音がリズミカルに感じられることから、続けているうちに身体ばかりか心まで安定します。
このウジャイ呼吸を特に重視するのがアシュタンガヨガです。呼吸と動きを連動させながら、途切れることなくポーズを変えていき、運動量が多いことでも知られる流派です。このアシュタンガヨガはこのウジャイ呼吸がないことには成り立ちません。
ウジャイ呼吸のやり方
動画
「お疲れバスター」ウジャイ呼吸
ポッコリ下腹を呼吸だけで引き締める?!ウジャイ呼吸~さとこの分かり易いヨガ~
ウジャイ呼吸のやり方 【ヨガ呼吸法】
ポイント
ウジャイ呼吸は次のような方法で行います。
1.あぐらなど楽な姿勢で座ります。ただし、背筋は伸ばしましょう。
2.鼻から息を吸い込み、その際に喉の奥の声帯部分を締め、空気の通り道を狭くしましょう。空気が擦れて「シューッ」と音がするぐらいにまでです。
3.息を吸いきったら、今度は力強く吐き出します。やはり鼻からです。
4.息を吸う時間の長さと、吐く長さは同じです。
もし、吐くときの感じがよくわからないようなら、最初は鼻からではなく口から吐いて、練習しましょう。ちょうど真冬に息で手のひらを温めるかのように、「ハァーッ」と吐きかけるイメージでやればいいでしょう。慣れてきたら、これを鼻からに置き換えます。
禁忌、注意点
力強さが特徴となるウジャイ呼吸ですが、度をすぎると喉(のど)などを痛めます。
目指すところは、「吐く・吸うのどちらでも常に軽く摩擦音がしている」状態です。
時間も最初は5分をめどにこなせるようにすればいいでしょう。徐々に伸ばして、最終的には15分間続けられるようにします。
また、うまくできるようになったからといって、アシュタンガヨガ以外で普段のポーズに用いるのもよくないです。特にリラックス系のヨガの場合は腹式呼吸で行いましょう。
清潔な場所でやることも必要です。激しい呼吸だけに、チリやホコリ、ペットの毛などを吸い込んでせき込んでしまうことがよくあります。
リラックス系のヨガなら、お香やアロマの漂うなかで行うこともありえますが、ウジャイ呼吸には邪魔になるだけです。やめておいたほうがいいでしょう。
ウジャイ呼吸での舌の使い方
ほかの多くのヨガの呼吸方法を同じく、息を吐くのも吸うのも鼻からです(鼻呼吸)。
また、喉には力を入れるものの、アゴや舌などほかの部分は力を抜くのが基本です。
ただし、慣れてきたら、ケチャリムードラをプラスするものいいでしょう。舌を丸めて奥に引っ込め、先端は上につけます。こうすることで、いっそう体が温まるようになります。
ウジャイ呼吸のバンダとは
「バンダ」とは、締め付ける・縛る・ロックするといった意味です。体の中を流れるプラーナ(気・エネルギー)を外に漏らさない作用のことを指します。
ウジャイ呼吸では特に、喉・おしり・骨盤の底をバンダします。
アシュタンガヨガとの関係
ウジャイ呼吸はアシュタンガヨガの特徴的な呼吸法とされることも多いようです。
アシュタンガヨガでは、普段のポーズからウジャイ呼吸が採り入れられています。
ポーズの順番がきっちりと決まっていて、また、呼吸との連動もほかの流派よりも強く意識されます。
なかには「なかなかうまくポーズが決まらなかった。どうやら問題は呼吸法にあったみたいで、ウジャイ呼吸ができるようになったら、自然とうまくいくようになった」といった声もあります。
⇒ アシュタンガヨガとは?どんな効果なの?激しいヨガのポーズを解説!
ウジャイ呼吸は、いびき対策にも!
ヨガ・インストラクターのなかには、このウジャイ呼吸をいびきや睡眠時無呼吸症候群の対策として指導している人もいます。
これらの原因は、睡眠時に舌の根元部分が奥に入り込み、気道が狭くなっているのが原因です。
ウジャイ呼吸をすることで、舌の筋肉が鍛えられ、睡眠時にも舌が奥に入り込むことがなくなります。
また気道も周辺の筋肉もしっかりとするので、空気の通り道を確保しやすくなります。
ウジャイ呼吸で、瞑想できる?
ウジャイ呼吸は激しいものなので、「瞑想の邪魔になるのでは」と考える人もいるでしょう。確かに慣れないうちはそうかもしれません。
しかし、楽にできるようになると、呼吸音という意識を集中させるものがあるために、むしろ集中しやすく瞑想にも入りやすくなります。
動きの順番が決まっているアシュタンガヨガなら「アーサナの最中でも瞑想状態に入れる」とされています。
腹式呼吸との違い
ヨガで一般的なのは腹式呼吸の方です。
吸うときはお腹をいっぱいに膨らませ、また吐くときはお腹を凹ませます。交感神経と副交感神経のバランスで成り立っている自律神経のうち、副交感神経の働きを盛んにするとされています。つまり、眠っているときやリラックスしているときの状態に近づけてくれます。
ウジャイ呼吸は
逆に交感神経の働きを盛んにします。つまり、活動状態をもたらしてくれます。はっきりと見てわかるのは呼吸の深さです。交感神経の働きが弱くなっていると、呼吸は浅くなります。また、浅い呼吸をしていることで交感神経も鈍くなります。それを激しい呼吸・深い呼吸で奮い起こさせるのがウジャイ呼吸なのです。
まとめ
ウジャイ呼吸を行うのは、まずは朝起きてすぐがおすすめです。その日1日の始まりに、体を目覚めさせることができるのです。
また、仕事の合間などにも実践してみましょう。ストレスや疲れが取れ、また疲れのせいで浅くなっている呼吸を直してもくれます。酸素不足状態も解消し、気分はスッキリとするでしょう。
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