「日ごろ運動していない人が急に始めてもOK」というのがヨガの魅力のひとつです。だからといって、筋肉痛にならないわけではありません。また、筋肉痛になるのは、それだけ筋肉を動かしている証拠にもなるので、わざわざ避けることもありません。

ただし、無理をしすぎて筋肉にダメージを与えての筋肉痛はNGです。この場合は素早い回復を図る必要があります。

ヨガで筋肉ってつく?

一般的に筋肉をつけるための方法としては筋トレが代表でしょう。筋トレの場合は、上腕二頭筋、大胸筋、大腿四頭筋といった体の表面にある筋肉がターゲットです。これらはまとめてアウターマッスルと呼ばれます。

アウターマッスルが太く大きくなると、見栄えがします。いわゆるマッチョはこの状態ですね。

ヨガといえば、ほとんどストレッチの一種のようなイメージで、筋肉や腱を伸ばすだけと考えている人もいるでしょう。これはやや違います。伸ばすことでも負荷がかかり、鍛えていることになります。筋肉も強化されます。

あまり気が付かないのは、ヨガで鍛える筋肉は大腰筋・腸骨筋といったインナーマッスルが中心だからです。これらは身体の奥にあるので、太く大きくなっても見栄えにはほとんど反映しません。ただし、姿勢がよくなる・腰痛や肩痛が治る・基礎代謝が上がる・内臓機能が正常化・呼吸が楽になるといった効果があります。どれも健康や美容のためには欠かせないものばかりです。

ヨガで筋肉痛にならない?

「ヨガは年齢・性別・日ごろの体の鍛え方にかかわらず、だれにでも始められる。動きは静かで、呼吸も激しくならない。リラックス効果が高い」ということが強調されすぎて、筋肉痛が起きないかのようなイメージも持たれがちです。しかし、日ごろ動かしていない筋肉を動かして負担をかければ、大なり小なり筋肉痛は起こります。

そのとき、筋肉の中では小さな傷がいくつもできています。ミクロ単位で見れば、筋繊維が切れている場合もあるでしょう。ただ、これはどんな形で筋肉を鍛えようが当たり前に起こることで、問題になるようなものではありません。その傷が回復すると、以前よりも太くて強い筋肉が再生します。

これを何度も繰り返していると、やがて損傷する筋肉は次第に少なくなり、筋肉痛も起こらなくなります。

日ごろ運動をしていない人は、それだけ使っていない筋肉も多いです。または、自分では積極的に運動をしているつもりでも、体の中の一部しか鍛えていないような人もいます。そういった人たちが、全身を余すことなく動かすことになるヨガを始めると、アウターマッスル・インナーマッスルを問わず体中のあちこちで筋肉痛を起こすのは避けられません。

度を過ぎない程度の筋肉痛であれば、「体が正常化するための必要なステップ」と割り切って受け入れるようにしましょう。また、実際に筋肉痛になったときに、「軽いものなら、むしろ心地いい」と感じる人も多いようです。

筋肉痛になった時どうする?原因と対策

それでもなってしまった筋肉痛は、やはり早く治してスッキリとした状態で次のレッスンを受けたいものでしょう。それぞれ部位ごとに次のような方法を試してみましょう。

太ももの筋肉痛

太ももの中でも、特に裏側を痛めてしまう人が多いようです。全くの初心者がそうなることは多くありません。いくらか慣れてきて、筋肉が伸びることに楽しさを覚えた人たちが、「もっと伸びるかもしれない」と無理をしてしまうのです。または、そこまでまだレベルが来ていないのに、「お手本通りのきれいなポーズを取りたい」という場合もあるようです。

もちろん、「無理は禁物」「補助具のプロップスなどを使って、ほどのいいところでやめておく」が大原則です。もちろん、筋肉痛がひどすぎるときはしばらく休みます。これはほかの部位のトラブルでも変わりません。

特に太もものトラブルということでいえば、まだ軽めなら、太陽礼拝のような基本となるポーズだけを繰り返し行うこともおすすめです。

お尻

筋肉痛になるのは、筋肉を使っている証拠です。お尻が筋肉痛になるのも例外ではなく、ヒップアップやお尻のサイズダウンが始まっていると、むしろ喜んでいい場面でしょう。

しかし、お尻の上の部分から痛みが出る場合、筋肉痛ではなく、骨や神経を本当に痛めているかもしれません。単純な痛みだけではなく、しびれのようなものを感じたら可能性を疑ってみましょう。診療科としては、まずは整形外科です。

肩の筋肉は意外に複雑で、普段はあまりつかっていないものも少なくありません。その上もろいです。筋肉痛になりやすい部位です。ヨガに限らず、少しトレーニングしただけでも疲労を感じやすいでしょう。

ただ、それだけに慣れてくれば問題がなくなります。痛みがどんどん加わっていくようならすぐにやめて医者に診てもらわなければいけないものの、とりあえずは軽めのポーズに変えて様子を見ましょう。

背中

背中の筋肉も普段使わない人は、全くといっていいほど使っていません。ヨガを始めたことで、筋肉痛になりやすい部位です。

また、前屈や上半身のねじり、肩立ちなど特に背中をターゲットにしたポーズとは思えないようなものでも、けっこう背中の筋肉を使います。もし、痛みが出始めているのなら、こういったポーズも要注意です。

ただ、ほかの部位と同じく、背中の筋肉痛もヨガに慣れることで、だんだんと収まってきます。やはり、特にひどい痛みでない限り、軽めのポーズに変えて続けるようにしましょう。

おなか

背中以上に普段は使っていない筋肉といえば腹筋です。ヨガを始めればかなりの確率で筋肉痛になるでしょう。

また、腹筋に痛みが出るぐらいなら、インナーマッスルも同時に鍛えられているはずです。やはリ、よほどひどい筋肉痛でない限り、継続が基本です。

というのは、腹筋の場合、ヨガをやっても筋肉や腱を伸ばすことはほとんどありません。どのポーズもただ筋肉を鍛えるばかりです。したがって、筋肉や腱を痛めている可能性もほとんど考えなくていいのです。

脚と腕を比べると、腕のほうが筋肉痛になりやすい傾向があります。それだけ、毎日の生活のなかでは使う筋肉が限られているのでしょう。初心者の場合は、特に上腕三頭筋に出やすいようです。

腕には、肩・ヒジ・手首と3つの大きな関節があるだけに、筋肉や腱を伸ばしすぎる可能性が多くなります。もし、激痛が走る・一定以上の角度で痛みが急激に増すといったことがあるようなら、もはや無理は禁物です。「筋肉痛ではなく、トラブルが発生した可能性が高い」と考えて治療などの対策に移るようにしましょう。

だるい

ヨガをやると、筋肉痛と同時に、または筋肉痛までいかなくても、「なんとなくだるい」といった状況になることがあります。「軽い風邪でも引いたような感じ」といえばやや近いでしょうか。

多くの場合は、好転反応です。これまで筋肉などの底にこびりつくように存在していた老廃物や毒素などが急に血液の中に流れ始め、それが悪影響を与えているのです。これはどれだけ続くか、個人ごとに違いがあります。2、3カ月続くような場合もあるでしょう。

それさえ乗り越えれば楽になります。これも「体が正常化するために乗り越えなければいけないハードルのひとつ」と割り切るようにしましょう。

参考
えっヨガの好転反応だった?!副作用?疲れる、だるい、吐き気、悲しいなど期間と症状と対策

アシュタンガ・ヨガで筋肉痛になる?

ヨガには静的なもの、動的なものなどなど様々な流派があります。動的なもののなかでも、運動量が多いことで知られるのが、アシュタンガ・ヨガです。

もちろん、筋肉痛も激しいです。ほかの流派のものが一通りできるようになり、筋肉痛を乗り越えたような人でも、アシュンタンガ・ヨガを始めたことで、激しい筋肉痛になり悲鳴を上げることも珍しくありません。

しかし、これも継続は力です。しばらく続けているうちに、やがては筋肉痛も消えることでしょう。

参考
アシュタンガヨガとは?どんな効果なの?激しいヨガのポーズを解説!

 

まとめ

ヨガやホットヨガを始めると、様々な症状が出ます。しかし、それらが肩こりや腰痛の改善、ストレスの解消などヨガの効果とされるものにつながっています。その一方で、本当にトラブルそのものだったり、トラブルのシグナルだったりもします。

それらの症状に出くわしたときは、まずは冷静に見極め、必要があれば意識して休息も取らなければいけません。とはいえ、難しいときもあるのが実際のところでしょう。やはり、スタジオのクラスを取って信頼のできるインストラクターの指導を受け、状況を判断してもらうのが安心なのは間違いないでしょう。