タイ式のヨガ、ルーシーダットンを知っていますか?タイ古式マッサージでおなじみの微笑みの国タイで生まれたヨガが、他とは違う魅力があふれています。

ヨガは健康法・美容法としてすっかりとおなじみになりました。場所は取らないし、お手軽です。また、「日ごろ運動不足でも、体が硬くても大丈夫」とされるのも多くの人が試してみる理由でしょう。でも、「ポーズがうまく取れないのがフラストレーションになる」「真剣にやると、それなりに身体に負担がかかる」という声があるのも確かです。そんな人には、ルーシーダットンがおすすめです。

ルーシーダットンとは

ルーシーダットンのルーシーとはタイ語で修行者や仙人のことを意味します。ダツは「曲げる・真っすぐにする」、トンは「自己」、または「自分自身」なので、この2つを合わせて体操をイメージすればいいでしょう。全部合わせると「仙人体操」ということになります。「タイ式ヨガ」の別名で聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。ヨガ同様に健康法・美容法として知られています。

起源については、「かつて東南アジア一帯で厳しい修行を積んでいた人たちが、その修行の合間に心身をいやし、体調を整えるために始めた」「元になったのはやはりインドのヨガで、それがタイに伝わって独自の発展をした」などといわれているものの、決め手となるような有力は説はありません。よくわかっていないのです。

ただ、17世紀か18世紀にはすでに、今のルーシーダットンにつながるようなものがタイ国内で行われていたようです。

日本ではヨガブームが始まった後の今世紀になって、別の選択肢として注目されるようになりました。

ルーシーダットンの5つの効果

ルーシーダットンがもたらす効果、または実践する人の目的はヨガと同じと考えていいでしょう。

・筋肉や関節が軟らかくなると同時に血管も軟らかくなることでの血流の改善
・筋肉、特にインナーマッスルの強化
・体の歪みや筋肉の凝りの解消
・ストレス解消・リラックス
・自律神経の正常化

これらは互いに影響しあっていて、相乗効果があります。また、これらの効果がいくつもプラスに働いて、たとえば痩身(いわゆる“ダイエット”)やスタイル改善にもなります。「血流がよくなると、細胞もしっかりと栄養分を受け取ることができ、活動量が増える。これでエネルギーの消費が増える。また体を動かすことでのエネルギー消費もある」といった具合です。もちろんアンチエイジングの期待にもこたえてくれるでしょう。

ルーシーダットンのポーズ

ルーシーダットンはタイでは政府も国独自の文化として大事にしています。保健省がルーシーダットンのポーズとして記録しているものだけでも200以上あるとされます。いずれも親しみやすい名前が付いています。

羽を広げる仙人のポーズ

・正座に近い形で床に座ります。ひざから下は外側に開き、かかとを外に出し、おしりは直接床に着けます。
・両手を組んで、息を吸いながら手のひらを上に向けて真上に伸ばします。目線は正面よりもやや上です。
・口から息を吐きながら、頭上で組んでいた手を解き、ひじは伸ばし、手のひらを外に向けた状態で背中側へと下ろします。
・やはりひじを伸ばしたまま、背中で両手を組みます。この状態で息を吸いながら腕を伸ばします。
・口から息を吐きながら腕を緩めて、ワンセットが終わりです。後はこれを数回繰り返します。

呼吸が深くなり、頭もリフレッシュします。また特に肩の周りの筋肉がほぐれます。

もの思いにふける仙人のポーズ

・床の上であぐらをかきます。
・右手のひらを右の耳の下に当てます。左手は右手のひじに当て、支えます。
・息を吸いながら、左手で右ひじを誘導し、あごのラインに沿ってなでながら右手を動かします。
・左あごまで来たらそこから、息を吸いながら右手・右腕はひじが伸びるところまでまっすぐに横に伸ばします。
・左右を入れ替えて繰り返します。

あごのラインが引き締まり、小顔にもなります。

ムエタイの前蹴りをする仙人のポーズ

・左脚一本で立ち、両手を組んだ状態で右足の裏を抱えます。
・息を吸いながら床に付いた左脚、抱え込んだ右脚ともひざを伸ばします。右脚は伸ばしきれなければ曲がったままでもOKです。
・息を吐きながら左足のひざを軽く曲げ、3秒ほどキープします。そこからまた、息を吸いながらひざを伸ばします。
・3回ほどひざの曲げ伸ばしをやったら、左右を入れ替えて繰り返します。

おしりや太ももなど下半身が引き締まります。

ルーシーダットンとヨガの違いは?

よく知られているヨガはインドで始まり、もとは修行のためのものです。現在日本で流行しているものは、そのインドのヨガがアメリカに渡り、エアロビクスなどの影響を受けて工夫されたものが大半です。とはいえ、上級者がこなすものを見れば、今でもアクロバットのようなポーズもあり、かつての厳しい修行の一端がうかがえます。

一方、先にお話した、「(ルーシーダットンは)修行の合間に心身をいやし、体調を整えるために始めた」を信じるのなら、ルーシーダットン自体は修行でなく、その修行による疲れから回復するためのものです。

この説が多くの人に受け入れられるのは、実際にルーシーダットンの心身のいやし効果が高いためです。また、ヨガのように初心者には無理といったポーズもほぼありません。「『ヨガは体が硬い・運動不足でもOK』とは聞くけども、それでも信じきれない」といった気分の人は、ぜひルーシーダットンに目を向けてみましょう。

また、ヨガでは重要な要素とされている瞑想がないのもルーシーダットンのとヨガの大きな違いです。瞑想はヨガをほかのエクササイズとの違いを際立たせていますが、かなり曖昧で、実際にはどうしたらいいのか迷うのも確かです。精神面を大げさに強調されない点でもルーシーダットンのほうが親しみやすいはずです。

また、タイは知る人ぞ知る健康や美容の先進国です。医療・マッサージ・整体なども熱心に研究されています。伝統医学も大事にされているので、独自の健康・美容のスキルが発展しています。ルーシーダットンもそのうちのひとつと考えていいでしょう。

ルーシーダットン呼吸法の特徴

ヨガでは流派によって例外もありますが、ほぼ腹式呼吸が基本です。しかも、吸う・吐くのタイミングは動作と連動させます。ここまではルーシーダットンも同じです。

違いは息の吐き方です。ヨガでは吸うのも吐くのも鼻からで、口は使いません。ルーシーダットンは吸うのは鼻、吐くのは口と決まっています。先にヨガから入った人には違和感もあるようです。しかし、慣れてくると、「体の緊張を解くのは、口から吐く方がうまくできる」という人も少なくないようです。

ルーシーダットンが学べるヨガスタジオ


カルドではルーシーダットンのれっすんがあります。
全国に50店舗以上あるので各地域の人でも通えるので、貴重なスタジオです。

詳細はこちら

ルーシーダットンが学べるDVD、本

ヨガ同様に、やはり動きを確認しながらのほうが覚えやすいでしょう。細かいところの姿勢や動き、流れもDVDがあればよくわかります。

DVDでわかるルーシーダットン 決定版52ポーズ

◯『DVDでわかるルーシーダットン 決定版52ポーズ』(WAVE出版)

著者は日本ルーシーダットン普及連盟代表の古谷暢基さんです。タイトル通りに、ルーシーダットンの代表的なポーズ52種類が解説されています。もちろんすべて付属のDVDにも収められています。特に体の歪みを直したり、部分やせを実現するためのポーズがたくさん採り上げられています。

ルーシーダットンで15秒ダイエット

『ルーシーダットンで15秒ダイエット―DVDではじめるタイ古式ストレッチ』 (MCプレス)

MOOK本になっていますが50ページほどなので、DVDが中心です。また、DVDだけでわかるようになっています。選び抜かれた20ポーズが採り上げられています。

まとめ

「ヨガの一種」と紹介されることも多いルーシーダットンですが、正確にいえば違います。また、どちらがいいかは簡単にいえないものの、「瞑想を意識しなくていい」「上級まで進んでもアクロバットみたいなポーズはない」といったのをメリットに感じる人も多いのではないでしょうか。

ヨガに敷居の高さを感じる人の多くは、リハビリに起源を持ち、ヨガの要素も取り入れられているピラティスに向かうようです。そういった場合、ルーシーダットンも選択肢に入れてみましょう。ルーシダットン専門のスタジオや、ヨガスタジオの中でレッスンを用意しているところやルーシーダットンをマスターしているインストラクターも増えています。